『風薫る5月に出会った花たち』
[ウスギヨウラク]

富士山西麓での意表を突かれた出会いでした。
思わず花に「いつからここに?」と聞きたくなる心境でした(笑)
ほとんど上滑りの知識でウスギヨウラクはウラジロヨウラクなどと違って
なんとなく西日本方面まで出向かないと自生の姿には出会えないだろうな〜と
思い込んでいたからです。そうして自分の中にあっさりボーダーラインを引きつつある時に
「ここにもいるよ〜ん♪」とたわいもなく勝手知る巡回地でひょっこり顔を出してくれた・・
そんな野生の花の自由さがいいのです。まあ一応の分布域は気になる事象でも、
現実の今を私も花も気まぐれに生きているわけですから・・・
『風薫る5月に出会った花たち』
[コバノフユイチゴ(別名・マルバフユイチゴ)]

私のエリア(伊豆方面)で杉桧植林地の山道沿いや切り通し道の日陰箇所などに
いたって多い「ユフイチゴ」は、その名のごとく冬場に果実を見て花は秋に咲いている種類です。
それに対して同エリアで広範囲には見掛けないやや山地性のこの「コバノフユイチゴ」の方は、
5〜6月にこうした花を見て果実も続く夏場には出来てしまうので
全く「冬苺」とはいえないキャラクターになっています。
これは思うに、たまたま先行して名付けられたフユイチゴと花も常緑などの点も近縁性が
認められるもう一方の種類に新たな葉のイメージだけを上乗せして単純に「コバノ」を付けて呼ぶこととなり、
そのため「冬」の意味はあってないものにされたのかも・・と推察されますがどうでしょう?
『風薫る5月に出会った花たち』
[コイワザクラ]

これぞ天然にしてあの「桜草」をよりコンパクトかつよりプリティーなバランスへと
調整した究極の姿と絶賛したくなる野生種です。
名のイメージ通り山の岩場が好適地なため、花期は違えどダイモンジソウが付くような
場所を重視して訪ね歩くと出会える可能性があります。
でも実際出会うと・・こんな可愛い花、誰かに誘拐監禁されたらひとたまりもないな〜と
心配性な気持ちも最大級に広がってしまい撮影している姿も
見られないようにアセアセとヘンに気を使ってしまう臆病者です。
『風薫る5月に出会った花たち』
[ヤマトグサ]

ローアングルで別の花を覗いている時に「何コレ?」と初めて気づいたのがこのヤマトグサでした。
パッと目には全く冴えない地味で小さな草姿で、花らしきものが付いていましたが
よく見るとかなり奇妙な形をしています。一応撮って図鑑で調べて分かったんですが、
この花は雄花雌花とも花弁がなくこの画像でも見てとれるクルリとした物体は雄花の萼片(3枚)で、
そこから多数の雄しべが垂れ下がるつくりになっています。
そして分類的には「日本特産種のヤマトグサ科ヤマトグサ属ヤマトグサ」として
一点孤高な立場を貫いていることを知って、その状況にジワジワ渋い魅力を感じてきました〜(笑)
さらに日本の植物学のあけぼの時代だった明治期に日本人が初めて学名を付けた記念すべき
植物がこの「ヤマトグサ」であった事も知って二重の意外性を覚えた次第です。
『風薫る5月に出会った花たち』
[サンショウバラ(別名・ハコネバラ)]

富士・箱根の狭い範囲にだけ自生する地域固有種です。
この画像はまわりに他の木々も密集している場所に生えていたので体を入れて接近して
撮れず、構図もままならなかったのでまたの機会をと願っているところです。
バラもノイバラのように野生でシンプルな一重咲きの原種に自然の中で出会うのを好みますが、
その中でもこのサンショウバラは野生種にして花径が5〜6cmもあって
最初見た時は信じられない思いでした。
この手の一重のバラは案外デリケートで、咲きたてで花弁が傷んでおらずシベも変色前という
綺麗な花にはそれなりに時期と日中時刻に気を払わないと出会えないので
なかなか理想の瞬間は遠そうです(笑)
理想といえば、以前やはり自生種のフジイバラを富士山と絡めて写しましたが
サンショウバラも何か地域色を感じさせる描写が出来たらな〜と思案中です。
『風薫る5月に出会った花たち』
[ヒメウズの花後]

花が極小のオダマキ風で、野草好きには特に愛されるヒメウズ。
思い起こせば、今年は3月中旬に県内の「びく石」という里山で開花を見たのを皮切りに
その後あちこちの低山地で5月末くらいまで咲く姿を見かけましたが、そろそろ花期も終わりということで・・・
今期はそんなヒメウズの花後姿にもちょっと注目してみました。
画像では袋果が弾けて2粒だけ残されていたタネの様子やその向こうのこれから熟すまだ青い袋果の
形状などを狙いました。こうした花後の変化もその植物特有のパフォーマンスがあって興味深く、
追い続ければ楽しい発見がたくさんありそうです♪ 


Top
Back
Next