2004晩秋のセレクション 
[ソナレセンブリ] 磯馴千振

伊豆の海岸で稀に見られるこの花のおかれた現実は非常に厳しくやるせない・・・
絶滅危惧IA類(CR)と環境省関連の植物版レッドリストにランク付けされる身の上で、
特にこの(CR)は[ごく近い将来における絶滅の危険性が極めて高い種]という切迫記号といってもよさそうだ。
ソナレ(磯馴)の名の通り海岸間際の環境に適応したその姿は、葉や萼の様子が普通のセンブリと
大きく異なるツルツルしたけっこうの厚みを持っている。
これは、科は各々でもやはり海岸地性の植物に共通の特徴となっているところが面白い。
そしてその花たるや、やはりリンドウ科センブリ属の一員として見事にその可憐さを小さな花の中に
持ち合わせていて嬉しくなるのであった。
しかし、考えてみれば・・・今、日本の海辺は高山エリア以上に多目的の開発やマリンレジャーなどで
意識・無意識にこんな小さな稀少種を踏み潰したり或いは盗採も・・・
ん〜〜もはや事態を悪い方にしか捉えられない懐疑的な野生種ファンとなってる自分も嫌ですね〜〜。
2004晩秋のセレクション 
[マルバアキグミ] 丸葉秋茱萸

秋にこうして沢山の実を付けるマルバアキグミは伊豆の海岸によく自生するグミ科の木です。
この他にも海岸地のグミ科にはマルバグミやツルグミなんていう種類がありますが、
私はこれら全てを今まで常緑性のものと思い込んでいました。
ところが、この内マルバアキグミだけは落葉性なのだと近頃知って海岸性植物全般に対する
何とはなしの先入観を改めなくては・・と遅まきながら思った次第です。
まあ、あとはつまらない言い訳ですが・・・このマルバアキグミの葉って、
いつもパサついた質感でうどんこ病かなにかの病的?に見えるほど葉裏が妙に白っぽいこともあって、
そのため多少葉が抜け落ちてしまった秋から冬の個体を見てもあまり本来の落葉性を
今まで疑わなかったというわけでした。
どんな時も例外の可能性があるから、自然は飽きさせないように出来ているな〜と
つくづく感心してしまいますね♪
2004晩秋のセレクション
[キヅタ] 木蔦

キヅタの花。ヤツデの花にも似てるなと思ったら同じウコギ科グループでした。
そういえばウドも・・そうだよ、あれもウツギ科。
自然散策なんていってもまだまだ何も見えちゃいないし、気づく感性も鈍くて、時間も季節も
あっという間に過ぎていく。
でもまあ自分のペースで個々に気づいていく現場主義じゃないと深い味わいがないからね〜。
早く知るのと遅く知るのとどっちが得ってわけでもないし(笑)
でも生物の多様性を失う人間によるハイインパクトな環境破壊は依然止まないだろうから気持ちだけは
常に焦ってるね〜。かなり狭〜いスケール感だろうけど、せめて一生を通じて
身近な自然の中で何気ない自分なりの発見が絶え間なく続けばいいな〜♪
(これは、キヅタから大きく外れて自分への声みたくなってしまいました・笑)
野山の花におもう<9月編>
[コシオガマ]

名前にシオガマと付くが、これはゴマノハグサ科の中でもいわゆる
シオガマギク属からは独立した「コシオガマ属」とされる花だ。
別属となるだけあって、実際花そのものの形が一般的なシオガマギクの
仲間とはかなり異なって見える。
むしろ同科の中では、スケールは全然小さくなるけど・・・
キクモやコゴメグサなどの方が花の感じが似通うな〜と思うのである。
野山の花におもう<9月編>
[ミゾカクシ]

近隣では、少し山あいの田んぼまわりで見かけることの多い花だ。
チョロチョロと段落ちする棚田の水路沿いは、この花のお気に入りのポジションのようだ。
中国やマレーシアやインドなどにも広く分布するということから、この花もたぶん
大元は日本の稲作文化が大陸からの伝播で始まった頃に水田雑草として
一緒に入ってきた史前帰化植物の1つなのかもしれないな〜。 
野山の花におもう<9月編>
[クサネム]

暗くなると葉をピタッと閉じて「眠る」動作をするあのネムノキの草木バージョンだから
『クサネム』なのだ〜♪納得なのだ!
マメ科ということで特に花と豆が上手く配置される構図をネラってみたよん(笑)
草丈があって撮り易いけど、目を付けてたものが頃合の良い時をネラって行くと・・・
やっぱり田んぼの雑草だから抜かれちゃってることもあったりして、その点難儀なものだ〜(笑) 


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