身近な野草におもう<8月編>
[ヒンジガヤツリ]

カヤツリグサ科は一般的な花らしい花が肉眼的に愛でられない事もあって、
普段はあまり積極的に寄り付かず、
したがって名前も区別もその大半は未だ曖昧なまま放ってしまっている有様だ。

しかし、この8月に入ってから近所の山間湿地で群生するヒンジガヤツリは
その中でもスッキリいっぺんで覚えてしまった例外的な一品である。

見た瞬間、単純かつ理屈抜きにこの小穂のフォルムが何とも可愛くユーモラスに感じ
気に入って撮った後に早速調べてみれば・・
合着する3つの小穂が「品」の字形につくから「ヒンジガヤツリ」とあって、
おぉ!ナルホドね♪とその名前の付け方が実に微笑ましく嬉しくなって
パッチリ脳裏に刻まれたというわけである。
身近な野草におもう<8月編>
[マルバハッカ]

これはガーデニング分野では「アップルミント」と呼ばれる元は欧州産ハーブとして持たらされたものが
既に国内で野生化して現在伊豆エリアでもあちこちの野で目にすることの多くなってきた帰化植物である。

古来日本のミント(つまりハッカのこと)の「ニホンハッカ」などを差し置いて近頃のハーブ・ブームでは
急速に多種類の海外産ハーブを導入している現状がある。
これらは土地の年間気候さえ合えば野に逃げ出しても充分成育できるものも多く、
そうなると本来の生態系に及ぼす影響も少なからずあるだろう。

そこでそんな近年よく耳にする料理やハーブティー用などに使うため園芸店でも見かける
外国語読み標示のミント類には他にもどんな和名が当てられているのか知りたくなって幾つか調べてみた。

●スペアミント→ミドリハッカ(別名・オランダハッカ)
●ペパーミント→セイヨウハッカ
●パイナップルミント→班入りアップルミント
●ジャパニーズミント→ニホンハッカ(または単にハッカ)
●オレガノ→ハナハッカ
●ヒソップ→ヤナギハッカ
●モルナダ(別名ベルガモット)→ヤグルマハッカ

・・・・とまあ こんな感じであるが、今の日本人なら時と場合によってきっと
どちらの呼び方も器用(オシャレ)に使い分けてしまうんだろうな〜。
身近な野草におもう<8月編>
[クサボタン]

古い記憶だが、初めてこの花を見たのは学生時代によくドライブした箱根の「長尾峠」周辺だったと思う。
真近で見ない時はさして印象的でなく木の花か?と思うような硬質な茎やパサパサでゴツゴツとした
葉の表面が繊細さを欠き好みに合わない気がしたのだが、上部に多数付いている小花の1つ1つを
よく見れば・・・この草姿に似合わず?のキュートな花を咲かせていることに気付かされたのであった。

その後は、富士山や八ヶ岳や南北アルプス周辺でも8〜9月に山麓車道脇の荒地などでも
普通に見られることを知るのだが、今もってこの花、顔付きはいいのにそこから下の姿がゴツイな〜
何とかならないかな〜なんて身勝手な気持ちを抱き続けている。

花後、オキナグサなど他のキンポウゲ科にもよくあるように果実が
長い羽毛状の毛をつけて秋の日に輝いているシーンを見るのも楽しみな花である。 
4月に見た身近な花たち[前編] 2004
ナガハシスミレ

あれまっ?笑っちゃうぐらい距が上に長〜く突き出てる!!
図鑑では見覚えのあったアノ通称テングスミレといわれるナガハシスミレかも?・・・
しかし図鑑等で照合してみると長い距を持つという点だけでは場合によっては
ゲンジスミレという可能性も浮上してきました。
しかしゲンジスミレならば葉裏が紫褐色を呈しているという決定的特徴を見逃した事に気づいて
発見場所に翌朝急遽再確認に行ってみました。
果たして、どうかな〜って妙にワクワク気分でその葉を裏返してみると、
ゲンジスミレの可能性は一発で消えました。
色はごく普通と思える艶なしグリーンでした。
そうなると安易な消去法ではありますが(笑)やはりナガハシスミレそのものであると考えました。
それともう1つ重要な条件の分布域に関して、
このタイプはまずは日本海側地域がメインステージとなるようですが、私の見つけた
こちら太平洋側でも少しづつ隔離分布の報告例があるようなのでその点でもなんとか
当てはまるな〜〜♪と判断しました。
また花色の点では図鑑の日本海側地域のサンプル個体よりも(やはり御多分に漏れず)
同一種の花では我エリアはたいてい薄めの花色となる傾向があるようなので
これはそう問題とならない条項と捉えています。 

ナガハシスミレ・・2

長〜い距の様子ですよん。
4月に見た身近な花たち[前編]
オオツメクサ

最初に言ってしまうと、実はこの花はノハラツメクサの可能性もありです。
どちらもナデシコ科の帰化植物なんですが、撮った画像を見て調べても
2つの決定的違いが判らず、当面は知名度の高いオオツメクサ採用でいいかなと(笑)
我が町の日当たりの良い山の中腹(標高400m位)の畑で白い花を一面に咲かせていて、
当初はナズナかな?ぐらいに思って近づいて見たらアリャ違う!
小さくても1つ1つの花がピシッととても端正で畑の雑草とはいえ私にとっては
思わぬ野の花畑の出現を知って嬉しくなりました。
それと、この画像にも少し写っていますが、まるでスギナのような質感の葉の方も繊細で、
群生が風に揺れると涼やかでそれがまたこの花の魅力をいっそう引き立てていました。
4月に見た身近な花たち[前編]
ホタルカズラ

新しいフィールドにも常に憧れを持って出向きながらも気まぐれ定点観察というか、
近所で自分が今まで見つけてきた自生の草木にも愛着があるので
毎年折をみては各々ピンスポットで短時間づつでも巡って状況確認したがる
妙なクセが身に付いてしまっています(笑)
今年もそんな中のひとつでハナイカダとジャケツイバラが自生するスポットに行ってみると・・
ハナイカダはほぼ予想通りの開花状態でしたが、ジャケツイバラの方は
蕾がたくさん育ってはいましたが開花にはまだ間がありそうでした。
そんな事を知ってからふと視線を林床の奥へと移すと・・・アッ、ホタルカズラだ!!
毎年同時期にはたいてい来ていたのにここでホタルカズラ(あれば結構目立つ花色)を
見た事がなかったのでビックリしました〜。
自分の知るこの花の一番近い自生スポットでもこの場所から3〜4km離れているし・・・
経緯不明で突如現れたこのホタルカズラにしばし不思議な気持ちで見入ってしまいました。
でもまあ、多様な自然界の大きな動きの中ではこういう事は日常茶飯事なのでしょう。
それだけに小さな勝手知ったつもりの定点でも決して見限ることは出来ないな〜という
思いを新たにしたのでした。


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